定公問う、君臣を使い、臣君に事(つか)うること、之を如何、と。孔子対(こた)えて曰わく、君は臣を使うに礼を以てし、臣は君に事(つか)うるに忠を以てす、と。(「八佾第三」19)
(意味)
「魯君の定公が「君が臣を使い、臣が君に事えるとき、どのようにすれば良いのか」とおたずねになったとき、孔子はこうお答え申し上げた。「君上が臣下をお使いなさるときは、人間として遇し、臣下が君主にお事えするときは、まごころをもってしなければりませんぬ」と。」(論語 加地伸行)
「定公」、兄昭公が重臣たちに国外に追放された後、擁立されて前509年~前495年まで在位した魯の君主。その定公は孔子を大臣に抜擢したといわれる。
その定公が、礼を失っていた臣下を憂いてこの問いを発したのだと桑原は解説する。
「忠」、君臣間の忠義を意味するのではなく、ひろく一般に「まごころ」をつくすという意味であるという。
この二句は並列的にとるのが普通であるが、徂徠はこれを因果関係ととって、「君、臣を使うに礼を以てせば、臣、君に事うるに忠を以てせん」と読んでいるという。
孔子の定公に対するアドバイスとすれば、このほうが適切かもしれない。やや状況的になりすぎて気品を失うきらいはあるけれども、と桑原は解説する。
世界が注目する中、イギリス ブレグジット騒動が長引いている。来月12日、この4年間で3回目の総選挙が実施される。英国民はこの騒動をどう感じているのだろうか。
東西冷戦を終わらせたマーガレット・サッチャーは英国民に愛されていたと聞く。
「君は臣を使うに礼を以てし、臣は君に事うるに忠を以てす」
かつて、英国民は、サッチャー元首相にそんな姿勢をみていたのだろうか。
強引な手法が目立つジョンソン首相。英国民はどういう審判を下すのだろうか。
「関連文書」
(参考文献)