「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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郷に入りては郷に従う【是礼なり】 Vol.58

 

 子太廟に入りて、事毎(ことごと)に問う。或るひと曰わく、孰(たれ)か鄹人(すうひと)の子礼を知ると謂えるか。太廟に入りて、事毎に問う、と。子之を聞きて曰わく、是礼なり、と。(「八佾第三」15)

  

(意味)

孔子は大廟での祭式において、事ごとに長上の経験者にたずねられた。これを見て、ある人がこう謗った。「あの鄹野郎、礼の先生と誰が言ったのよ。大廟ではなんでもかんでも人に聞いてたぜ」と。この話が孔子に伝わると、こうおっしゃった。「知っていても過ちのないように確かめる。それが礼なのである」と。」論語 加地伸行

 

「鄹」は、孔子の出身地。今の山東省曲阜県。「鄹」は、「陬」と同じ。「僻陬」片田舎という言葉があるように、遠くて辺鄙な土地の感じである。

 

 

 「郷に入りては郷に従う」という言葉がある。その土地土地に、独自の風俗や習慣はあるもの。新しい土地に行ったなら、その土地の風俗や習慣に従うべきであろう。それは、何も場所だけのことではない。会社やプロスポーツはもちろんのこと、ある組織に属するなら、その組織のルールや規律に従うべきであろう。 

  新たな土地に引っ越して、例えば、その地域のごみ出し方のルールに従わなければ、無礼者とか、非常識とかの謗りを受ける。

 是礼なり

 知っていようがいまいが、過ちのように確かめることを心がけたい。

 それが礼の第一歩となるのだから。

 

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 (参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)