「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【思い邪(よこしま)無し】「新・経営の神様」稲盛和夫さんも鹿児島人 Vol.23

 

曰わく、詩三百、一言以て之を蔽(おお)えば、曰わく、思い邪(よこしま)無し。(「為政第二」2)

  

(意味)

「詩三百篇、一句で断定すれば、こころのままのまっすぐな表われである。」論語 加地伸行

 

 「詩三百、一言以て之を蔽えば、曰わく、思い邪無し」

 論語のこのことばには深遠さ、味わい深さがあり、真理に迫った何かを感じる。

 詩経を編纂したと言われる孔子。このことばは、読んだそのイメージのままに受け取ってみてもよいのではないか。

 解説

孔子が詩の本質と魅力を簡潔に指摘した文章である。見せ掛けだけの巧言令色を嫌った孔子は、当然のように詩篇についても華やかで優雅な美辞麗句を嫌い、邪心のない純粋な感情が迸る(ほとばしる)ような表現で構成された詩を好んだ。「思い邪なし」の表現は、四書五経の一つ「詩経」の魯頌(ろしょう)から引用したもので、魯頌とは魯国の祖先の霊廟を祭るときの舞楽であり、孔子は仁義と同等以上に礼楽を重視した人でもあった

(『論語 為政篇』の書き下し文と現代語訳:1)

 

 西郷隆盛が師と仰いだ島津斉彬座右の銘がこの言葉であったとか。

 

 

 

  新たな「経営の神様」と言われる京セラ創業者の稲盛和夫さんもまた鹿児島の出身。京セラの社是は西郷隆盛の言葉『敬天愛人』。鹿児島人にとって、斉彬や西郷は何か特別な存在なんでしょうか。 

 その稲盛さんの半生記とでもいえる「思い邪なし 京セラ創業者 稲盛和夫」が発刊されている。

 

思い邪なし 京セラ創業者稲盛和夫

思い邪なし 京セラ創業者稲盛和夫

 

 

flierでは次のように要約する

・稲盛は幼いころ、「隠れ念仏」という特殊な宗教体験をした。そこで得たのは、「なんまん、なんまん、ありがとう」という、謙虚さと感謝を忘れないための祈りの言葉だ。
・稲盛が苦労して就職したのは松風工業という企業だ。はじめはうまくなじめなかったが、“U字ケルシマ”という部品の製造によって成果を挙げ、やがて強烈なリーダーシップを発揮するようになっていく。
・稲盛は利他の心を忘れず、京都賞を設立したり、児童養護施設をつくったりと、次の世代のために奔走した。(出所:flier)

www.flierinc.com

 

 

 私の知っている鹿児島人もやはり斉彬や西郷隆盛を寵愛していた。鹿児島の地に何か秘密であるのだろうか。

「敬天愛人」の精神に基づいて京セラを経営

  京セラは創業3年目の社員の反乱を契機に、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」ということを企業の目的にしました。

これは、西郷が説く「敬天愛人」の「愛人」であり、広く人々を愛することだと改めて理解しました。(出所:稲盛和夫OFFICIAL SITE)

 

 考えるだけでは智慧に昇華することはない。創業間もない頃の経験と「論語」から「利他の心」という智慧が育まれたのだろうか。

  

(参考文献) 

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

 

『論語 為政篇』の書き下し文と現代語訳:1

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