「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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日本人にとっての「恥」とは 【恭礼に近ければ、恥辱に遠ざかる】 Vol.18

 

有子曰わく、信義に近ければ、言復(げんふ)む可し。恭礼に近ければ、恥辱に遠ざかる。因ること其の親を失わざれば、亦(また)宗(たつと)ぶ可(べ)し。 (「学而第一」13)

  

(意味)

「約束(信)の内容が道理(義)に反するほどのでないならば、言った通りにしてよい。相手への丁寧さ(恭)が作法に反するほどのものでなければ、丁寧にしても恥をかくわけではない。他者への依頼が親しむべきありかたにそうはずれていないならば、その依頼する相手への尊敬心を持ち続け、お願いせよ。」論語 加地伸行

 

 条件付きの場合の「信、恭、因」のあり方の注意点であると加地は言う。

 完璧さを求めず、8割、9割の出来でよいという。 

 

 

 

 日本人を表す言葉として、「恥の文化」というのがある。日本人の道徳心の根幹に「恥」があるという。他者、世間の目や評判を気にして、自己の中にモラルが形成されていくということのようだ。

 「恥の文化」を紹介したのは、アメリカの文化人類学者 R.ベネディクト。『菊と刀』の中で使った用語だ。

菊と刀 (講談社学術文庫)

菊と刀 (講談社学術文庫)

 

 ベネディクトは、他人の目を気にせずに、身勝手な行動をする日本人の姿も見たのであろうか。

 

 恭礼に近ければ、恥辱に遠ざかる

 日本人は、善悪を世間の評判や他者の目を基準すような道徳観をもっているといわれる。その一方で、他人がみていなければ、ついついやってしまうこともあったりするともいわれる。  

 

 ベネディクトの「菊と刀」からだいぶ時間が経過した。日本人の「恥の文化」にも変化してきているのだろう。

 

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「有子」、孔子の13歳年少の弟子。有若の尊称が有子。記憶力に優れ、その容貌は孔子に似ていたため、師の没後弟子たちによって孔子の身代りとして仕えられたという。

また、勇気があったといも言われる。攻めてきた呉軍が魯軍に夜襲をしかけたとき、魯軍は志願兵を募ったという。この志願兵には、士が700人、卒が300人にいたという。有子は、卒300人の内の一人といわれる。

孔子亡き後、有子が孔子学団を率いることになる。

 

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(参考文献) 

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)