「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

史上最短となった人類滅亡までの時を刻む終末時計、平和を願う台湾総統のローマ教皇宛の書簡

 

 台湾の蔡英文総統がローマ教皇に書簡を送ったそうです。ローマ教皇の1月1日の世界平和の日のメッセージに応えるものといいます。

ウクライナでの戦争は世界に平和の価値を認識させ、地域の安全維持が重要な共通認識になった(出所::ロイター)

台湾総統、中国との戦争は選択肢にない ローマ教皇に書簡 | ロイター

祈り」なのでしょうか。「祈り」とは、世界の安寧や、他者への想いを願い込めることであり、 利他の精神、 自分の中の神と繋がることとの意味があります。

 意識を集中することで、願望を実現に至らせる力にもなるともいわれます。

 

 

平和への祈り

 記事によれば、中国との戦争は選択肢になく、主権と自由に対する台湾の人々の主張を尊重することによってのみ、中国との健全な関係を築くことが可能だとの認識を示したそうです。

  昨年の国慶節の演説では、台湾海峡の平和と安定は台湾と中国の関係発展の基盤であり、武力衝突は絶対に容認されないとの考えを重ねて示していたそうです。

論語に学ぶ

子 匡(きょう)に畏(おそ)る。曰わく、文王既に没したれども、文 茲(ここ)に在らずや。天の将(まさ)に斯(こ)の文を喪(ほろ)ぼさんとするや、後死者(こうししゃ)者は斯文(しぶん)に与(あずか)るを得ず。

天の未だ斯文を喪ぼさざるや、匡人(きょうひと)其れ予を如何せん、と。(「子罕第九」5)

 孔子の一行が匡という土地で軍隊に囲まれ、窮地に陥ります。そのとき、孔子は「周の文王はすでに没したけれども、道は、私に伝えられているではないか。もし天が斯の道ー斯文を絶とうとするならば、私の生命とともに斯文も消え、後世の人は斯文の恩恵に与(あずか)ることでできなくなる。

天が斯文を滅しようとしないならば、匡の人々は私をどうすることもできないであろう」と述べたといいます。

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「斯文」とは、この学問、この道と意味し、道徳とも意味します。また、文化との解釈もあります。

 蔡総統の祈りも、この孔子の言葉に通ずるところがあるのでしょうか。

 

 

終末時計

 人類滅亡を午前0時に見立てた「終末時計」の残り時間が「90秒」になったそうです。

再送-人類滅亡まで「90秒」、ウクライナ侵攻で10秒進み史上最短 | ロイター

過去3年間は「100秒」に維持されていたが、核戦争、疾病、気候変動に起因する脅威がロシアによるウクライナ侵攻を受け悪化。人類滅亡までに残された時間は史上最短となった。(出所:ロイター)

「ロシアが核兵器使用を薄々ながらも示唆していることは、偶発的、意図的、あるいは誤算によって紛争がエスカレートする恐ろしいリスクがあることを世界中に思い起こさせる。この紛争が誰にも制御できなくなる可能性は依然として高い」と、終末時計を管理する、米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」のCEOが述べたそうです。

 世界中の人々が祈り、その願望の実現を願うのであれば、終末時計の進行を止め、巻き戻すこともできるのかもしれません。

 日本政府に祈りはあるのでしょうか。利他の精神もなく、どうにも私欲にまみれた烏合の衆に見えます。

 

【歴史の分岐点】現実化しそう日本衰退、それでも力による外交を欲する首相

 

 日本の衰退化傾向が顕著のようです。経済大国3位の地位から落ちるのも時間の問題で、遠からずドイツに追い抜かれるそうです。

 要因は様々で少子化高齢化もそのひとつといわれています。

歴史の分岐点

 通常国会が始まり、首相が施政方針演説しました。いつものように与党は絶賛し、野党は問題を指摘します。いつもと変わらない国会ということでしょうか。

課題先送りの日本脱却を 岸田首相臨む「歴史の分岐点」: 日本経済新聞

「今、われわれは再び歴史の分岐点に立っています」と、冒頭、首相は現在の国際情勢を鑑みて、そう述べました。

「今われわれが直面するさまざまな難しい、先送りできない課題に、正面から愚直に向き合い、一つ一つ答えを出していく」といい、防衛力強化の必要性から説きます。さらに日本の状況を語り、その各論について説明しています。

 

 

 経済大国である必要はないのかもしれませんが、状況下が悪化し続ける中で生活するよりは、状況が改善していく中にいたいものです。

 やはり活気があって、社会が希望にあふれていることの方がいいのでしょう。

 一時的な政権交代はあったものの長く同じ政党による政治が続いています。その導きによって、今日の日本があるような気がします。先送りにできない課題を生み続けてきたのがこれまでの政治で、この歴史の分岐点という危機を作ったのも、また政治ではないでしょうか。

首相が模索する政権維持戦略【点描・永田町】:時事ドットコム

 今年も「戦後最大の危機」との苦闘が続く首相は、「政権維持に自信満々で、さまざまな戦略を模索中」と記事は指摘し、この通常国会、4月の統一地方選、5月に開催されるG7サミット(先進7カ国首脳会議)での成果によって、その後の政局を占うカギとなると、記事はいいます。

4年8カ月の外相経験を持つ首相にとって、広島での〝G7議長外交〟は「政権浮揚のための晴れ舞台」(外務省幹部)だ。だからこそ「G7外交で内閣支持率が上向けば、解散断行のチャンス」(岸田派幹部)との思惑がにじむ。しかし、そこにたどり着くためには、内政での政治的関門を突破することが求められる。(出所:JIJI.com)

 任期があっての首相という職、与党の支持なくしては任期も全うできず、ついつい政権維持の戦略が優先されがちになることは理解できます。

 それにしてもです。それではこれまでと何ら変わらず、また同じがことを繰り得すのでしょう。

 首相が口にした「歴史の分岐点」が現実化し、さらに状況が悪化しかねません。

 

 

論語に学ぶ

季康子(きこうし)問えらく、民をして敬、忠にして以て勧めしむには、之を如何せん、と。子曰わく、之に臨むに荘(そう)を以てすれば、則(すなわ)ち敬せん。孝慈(こうじ)もてすれば、則ち忠ならん。善を挙げて不能を教うれば、則ち勧めしめん、と。(「為政第二」20)

 魯の国の権力者であった季康子が「私に対して、人民が尊敬しまごころを持ち、そして道徳的になる、そういうふうにさせたいのだが、どうすればよいのか」と質問しました。孔子は「人民の前で、やましい気持ちがなくピシッとすることです。そうすれば民は尊敬します。孝を実践し、民を慈しむことです。そうなれば、民はまごころを尽くします。善人を登用し、不善者に教えることです。そうあれば、善行をするようになります」と答えたといいます。

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 首相の座を射止めた岸田氏が、季康子にだぶります。支持率も低迷し、国民から信頼される首相になりたいのでしょう。

 孔子ではないですが、政権維持したいなどやましい気持ちを捨て去り、国民のためだけに一意専心して欲しいものです。その覚悟を決め肝を据えれば、侮られることもないのでしょう。

優先されるべきは積極的な外交の展開です。同時に、外交には、裏付けとなる防衛力が必要です。(出所:日本経済新聞

 こんな言い訳をするからいつまでも侮れられるのでしょう。力に頼らなければ、外交もできないとは情けない話です。自ら「チエ」がないことを証明しているようなものです。

 このままでは日本の低迷、衰退に歯止めがかかることはありそうにもありません。

 

「参考文書」

岸田文雄首相の施政方針演説全文: 日本経済新聞

 

【分断から緊張緩和へ】動き出す欧米中、世論操作して国民に決意を求める不義な国

 

 国内企業が、「経済安全保障リスク」への対応のため、取引先との契約書を見直す動きが広がっているそうです。将来的な台湾有事を想定した対応も出ているといいます。

企業4割「経済安保で契約書見直す」台湾有事など警戒: 日本経済新聞

「不可抗力条項」を整備し、経済制裁が理由で契約が履行できなくても免責されるようにするなどの動きが目立っているといいます。記事によれば、直近3年で見直したり、今後見直しを予定したりする企業が主要企業の4割近くに上っているそうです。

 

 

緊張緩和

 一方、新型コロナの感染拡大や景気低迷に苦しむ中国が、米欧との関係の見直しを図っているといいます。中国政府は、米国との経済の分断「デカップリング」を警戒し、攻撃的な「戦狼外交」も抑制気味といいます。

米欧関係、仕切り直し 中国、「デカップリング」に警戒感:時事ドットコム

 中国は欧州首脳を招待し、要人たちが相次いで訪中しています。今後もマクロン仏大統領などの訪問も予定されているそうです。

 記事によれば、マクロン大統領も、先に中国を訪問したショルツ独首相同様、習主席との会談を通じ「デカップリングへの反対」を表明するとみられているといいます。

 中国は「ゼロコロナ」政策による経済の落ち込みが続いており、景気回復が優先課題となり、当面は米国との関係安定化を目指しているようだといいます。これを受けてか、欧米中のメディアは「米中関係に緊張緩和の兆しが見られる」と報じているそうです。

 中国は「分断」や「核」への反対といった足並みをそろえやすい分野で欧州と協調し、「対中包囲網」に揺さぶりをかける思惑があるようだといいます。

 欧米中それぞれが経済など自国への影響を睨み、決定的な対立を避けようと、巧みに外交を行っているのでしょうか。自国への悪影響を避けるのはごく自然なことではないでしょうか。

 

 

 日本政府の外交はどうなっているのでしょうか。結びつきの強い両国の経済関係への影響を避けようとしているのでしょうか。

 中華圏では春節休暇を迎え、インバウンドへの期待が高まりますが、中国からの訪日は回復とはなっていないようです。中国経済との結びつき企業は、日本政府の経済安全保障政策に警戒を強めているようです。

 これで安定的な賃上げを実現できる経済環境は整うのでしょうか。

決意せよ

 日本政府は、昨年12月に閣議決定した国家安全保障戦略で、中国の対外姿勢を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と表現し、国防への「決意」を国民に求めたといいます。

政府、国民に「決意」要求 安保戦略、中国にらむ防衛力強化 | 共同通信

 それに加え、この安保戦略を実施に移すため、世論説得に乗り出すといいます。記事によれば、安保戦略には、「国家としての力の発揮は国民の決意から始まる」と明記されているそうです。

 時代錯誤も甚だしく、世界のトレンドからも大きく乖離していないでしょうか。まるで好戦的な隣国の大統領のようです。

論語に学ぶ

天 徳を予(われ)に生ぜり。桓魋(かんたい) 其れ予を如何せん。(「述而第七」22)

 天はこの私に世を徳化する資格をお与えになったのだ。桓魋ごとき一軍人が、いったいこの私をどうすることができるであろうか。

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 孔子の使命観の表明であり、天命への確信と言われています。

 孔子の思想では「世を指導する」とは「世を徳化する」とし、そのためには、他人を感化できる優れた道徳性がなくてはならないといいます。つまり自分自身に「徳」がなければならないのです。

「徳」とは、「善」や「正義」にしたがう人格的能力、りっぱな行いや品性といわれ、社会的に価値のある性質のことを指します。「正義」は、明治以降使用されるようになった言葉で、もとは「義」であったといいます。「義」は、正しい道を歩むことであり、公共のために尽くす気持なども「義」とされます。

 

 

正しい道

 「正しい道」とは何であろうかと考えます。

 時代時代、その時々の環境にあって、正しい選択を行い、それを実践していくというプロセスの連続性を言うのではないでしょうか。

 正しい選択を行うには、学びの連続とそこから得ることができ、アップデートされ続ける教養が必要というのが孔子の考えです。

 そうであっても、時に誤った選択を行うこともあるのかもしれません。

 しかし、孔子はそうであれば直ちにそれを正せといって憚りません。これこそが「正しい道」を歩むこと、「義」、そして「正義」ではないでしょうか。

 欧米中は競争に勝利することを目論み、「正しい道」を歩もうとしていないでしょうか。恣意的に緊張を作り出しはするが、決定的な衝突は避けようと、状況を見てはそれを緩和させるために協調する、そうすることで自国民の安全と成長を維持していく。

 それを優先し実現するために、時として他国に経済的な犠牲を強いることは厭わない、そこにも協調という手段を巧みに利用していく。「協調」こそが相手を説得する有効な手段なのだから。

 

 

通常国会

 今日から通常国会が始まるそうです。選択を間違え、不義に陥りがちな暴走する首相を野党は止めることができるのでしょうか。

 防衛費増額の前に、賃上げや歴史的な物価高への対策などやらなければならないことが多々あるはずです。

 首相の目を開かせ、気づきを与えることが野党に求められています。

 

止まらない内閣支持率の下落、不信、いら立ち、進む劣化

 

 内閣支持率が4カ月連続で、政権維持の「危険水域」とされる20%台になっています。

 時事通信の1月の世論調査による岸田内閣の支持率は26.5%、前月から2.7ポイント減少したといいます。防衛力強化に伴う増税方針の表明や一段と進む物価高などの影響のようです。

内閣支持最低26.5% 4カ月連続で「危険水域」―立民も下落・時事世論調査:時事ドットコム

 政府はこうした世論調査の結果に一喜一憂しないといいますが、なぜ支持率が低迷するのか、もっと真剣に考えてもらいたいものです。

 一般的には、国民の幸福を無視するような政治を悪政というのでしょう。また、社会が良い方向に向かうことがなければ、それは失政で、政治のやり方に誤りがあるのではないでしょうか。

 

 

 危険水域にある政権を引きずり降ろそうとする動きがないことも不思議な現象です。政権与党には好都合な内閣ということなのでしょうか。もしそうであれば、政権与党もまた、国民の幸福を願っていない政党であることを自ら証明しているのではないでしょうか。 

社会の劣化

 社会学の専門家が「日本社会が寸断化されている」と危惧し、社会全体の動向を言い当てる大きな構図の命題がなくなり、モザイク社会となっているといいます。

コロナ禍で社会は「分断」から「寸断」へ 吉川徹:時事ドットコム

既存の社会的カテゴリーを用いたのでは、どの層が課題を抱えた弱者なのか特定できないのだ。弱者はモザイク構造の社会のどこかに潜在していて、そこにはまって落ち込んだ心は、事件などを契機に表面化する。(出所:JIJI.com)

 これまでは脆弱なカテゴリーを見つけてはそのたびに、シングルマザーや氷河期世代、ヤングケアラーなど、名前をつけ、ラベルを貼っては政策的対応や支援の手を差し伸べてきたといいます。しかし、これでは、新しく見つけ出された問題に社会の側が後追いで対応していく構図になっているといいます。

「細かく個人化された寸断社会にあっては、このいたちごっこを際限なく繰り返していかなければならない」と指摘します。

 

 

 この学者は、安倍元首相の銃撃事件の容疑者として逮捕された山上徹也氏についても言及し、「容疑者の不幸な境遇を取り上げるメディアは、ロスジェネ世代、母子家庭、非大卒、非正規など、しばし論点について逡巡した後、名前のない落とし穴に一人落ちていた容疑者の心情は、宗教二世の不幸として可視化された」といいます。

寸断社会には、不利な要因が重なって増幅している脆弱性ホットスポットがモザイク状に存在している。他者への関心が薄い中、名前のない不幸に陥っている人たちは数知れないだろう。山上容疑者の孤立、一人でのめり込んでいった凶器製作や犯行計画。そこには彼がはまってしまった不幸に名前がなく、それゆえに仲間も見つけられず、他者からの関心も向けられないということがあったのではないか。(出所:JIJI.com)

 この現象は、21世紀になってから顕著と、この学者は指摘しています。なぜ問題ばかりの社会になってしまったのかと思わざるを得ません。

劣化と不信

 この間の政治が「失政」「悪政」続きだったということでしょうか。その結果、社会的弱者を増やし続けてきたということなのでしょうか。

 政治がまったく機能していないようにも感じます。政権与党の問題が大きいのでしょうが、野党側にも責任の一端があるのではないでしょうか。

 時事通信社世論調査では、野党立憲民主党の支持率も低下したといいます。政治不信が極まったということでしょうか。

論語に学ぶ

曾子(そうし)曰わく、君子は文を以て友を会し、友を以て仁を輔(たす)く。(「顔淵第十二」24)

 君子 教養人は、学芸を通じて友人と交わり、その友誼によって、お互いに人格を高め合い、「仁」を実践する。

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 こうあるのが理想なのでしょうが、こうできないのも現実なのでしょう。これに輪をかけ困難にさせているのが今の政治なのでしょう。

 政治家が気づきを得て、その身を正すことはあるのでしょうか。

 

【異次元の少子化対策】始まった議論、定まらない財源、また極端に走るだけか

 

 自衛隊護衛艦が瀬戸内海で座礁し、海上保安庁の巡視艇も座礁しました。ちょっとした不注意からだったのでしょうか。お金をかけて装備を充実させても、こんな運用ではムダになるだけです。千葉でおきた凶悪事件の容疑者として現役の自衛官が逮捕されました。不安を覚えます。これで国が守れるのでしょうか。

少子化と国防

 少子化の影響は自衛隊に及び、日本の「国防」を担う人材不足が目立っているといいます。

「国防人材」が足りない サイバー領域、世界に後れ: 日本経済新聞

 サイバー領域における高度な人材確保に懸念があると、記事は指摘します。

いまの自衛隊には1万6千人超が足りない。陸海空各自衛隊で法律上の定員は25万人でも、実際に勤務するのは2022年3月末時点で23万人にとどまる。余力ある設定のためこれまで100%に達したことはない。(出所:日本経済新聞

 国を守るという高貴な理念と実態が大きく乖離していないでしょうか。

 

 

少子化対策

 政府が「こども政策の強化に関する関係府省会議」の初会合を開いたそうです。

 首相の「異次元の少子化対策に挑戦する」との指示を受けて設けられた会議といいます。座長には小倉少子化相がつき、「かつてない踏み込んだ大胆な対策に関するたたき台をつくっていきたい」と述べたそうです。

少子化「予算倍増」先行、試される抜本改革 政府初会合: 日本経済新聞

 首相は子ども関連予算の「将来的な倍増」を表明し、6月ごろにまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に「財源も含めて大きな方向は書き込む」としているといいます。

 社会保険料からの拠出や消費増税などで財源を捻出する案が取り沙汰されるものの、未だ道筋は明らかになっていないそうです。年金も含め、給付と負担のバランスを見直す議論が欠かせないとします。

赤字国債で対応すれば、将来世代への負担の先送りにしかならない。長い目で見れば、少子化をかえって助長しかねない。(出所:日本経済新聞

 

 

 記事は、内閣府がまとめた少子化に関する意識調査で子どもを増やしたくない理由に「お金がかかりすぎる」をあげた人が5割を超えているといいます。日本は低成長が続き、賃金上昇率も低迷していることの影響を示唆します。

財源論

MMT(現代金融理論)や消費税減税といった世論へのインパクトが強い政策に走りがちな「極端主義」が「明らかに今の政治には存在している」と懸念を示し、「言葉の巧みさで競い合う極端主義を排し、『正しい中庸』を探っていくのがあるべき政治の本質だ。(出所:JIJI.com)

「増税で福祉無償化」永田町が注目 慶大・井手教授が唱えるこの国の理想【政界Web】:時事ドットコム

「何が社会に必要なものか。そのために必要な財源を考え、どんな税をどのくらいの税率で、どういう人たちに負担をお願いするか皆で真剣に話し合っていく中で、両極端の主張の間の中庸を探っていく」と主張するのは慶応大の井手英策教授、「これが財政民主主義という考え方」といいます。

 記事によれば、防衛費の増額など昨今の政界の動きは、井手氏の目には「民主主義の本質に関わる危機」が近づいていると映っているといいます。

議論もせず、どんぶり勘定で防衛費を倍にしようと言っているだけ。これは最近の日本政治に通底する傾向です(出所:JIJI.com)

 さらに「膨大な国債を押し付けられる今の子どもや未来の子どもたちはその意思決定に関わることさえできない」と井手氏は語り、「民主主義が息絶えつつあるということ」といいます。

 

 

論語に学ぶ

子夏問うて曰わく、巧笑(こうしょう)倩(せん)たり、美目(びもく)盼(へん)たり。素以て絢(けん)を為すとは、何の謂いぞや、と。子曰わく、絵事(かいじ)は素を後にす、と。曰わく、礼は後か、と。子曰わく、予を起こす者は商なり。始めて与に詩を言う可(べ)きのみ、と。(「八佾第三」8)

 弟子の子夏が「詩に笑顔うるわし。眼元涼やか。白粉の美しさ。とあります。どういう意味でしょうか」と質問します。孔子は「絵を描くときは、まずは色を使う。そのあと白色の顔料「胡粉」を色の間は塗って完成するのだ」と答えると、子夏は「礼は後でよろしいのですか」と問います。すると孔子は「私の言わんとするところを表してくれるのは、商(子夏)だ。お前となら詩を語り合える」と答えます。

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 子夏の「礼が後か」との言葉は「まずは政治や教育が先にあって礼が成立するのか」と解釈するそうです。政治という色を礼で縁どれば、文があってまばゆく美しなるともとれそうです。礼とは元来相手に対する思いやりを伝える所作、行為です。

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 今の政治を続けていては、礼やモラルが向上することはなさそうです。少子化に歯止めがかかることもなく衰退が加速し、また国を守ることも危うくなっていくのかもしれません。

 

【なぜこんな国に】過去最大の貿易赤字、止まらない物価高騰、増すばかりの負担

 

 貿易赤字の額の大きさに驚愕です。2022年の貿易収支は19兆9713億円の赤字と過去最大になったそうです。赤字基調は今後も続くとみられ、「国富流出」懸念が高まるといいます。

貿易赤字、最大19.9兆円 「国富流出」懸念も―22年:時事ドットコム

 円安に資源高、それに外貨も稼げないのだからどうにならないのでしょう。これが、現在の日本のありのままの姿なのでしょうか。

 

 

 社会には不正がはびこり、街では凶悪事件や悲惨なできごとが続いています。

「社員着服のつけ」下請けに 楽天モバイルが契約解除で経営危機 | 毎日新聞

 なぜこんなに治安が良くない方へといってしまうのでしょうか。

勢いが増しそうな物価高

 昨年12月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)が前年同月比で4.0%上昇したそうです。41年ぶりの4%台到達といいます。

 貿易赤字の原因でもある原材料高や円安の影響で、食料品などで価格転嫁が進んでいることに加え、電気代などエネルギー関連も上昇にしたことによるそうです。

全国消費者物価41年ぶり4%台、食料とエネルギー押し上げ-12月 - Bloomberg

 黒田日銀総裁は先日の記者会見で「2%の安定的・持続的達成が見通せる状況にない」としましたが、うそぶいているだけではないでしょうか。

 対話する姿勢を示して欲しいものです。

 一方で、賃上げ期待は膨らみますが、期待通りに進むのでしょうか。

足元の物価上昇の影響で企業の経営環境は厳しさが増している。帝国データバンクによれば、物価高が原因の倒産が昨年12月に48件と単月での最多を更新した。年間では320件と前年比2.3倍に急増したという。原材料などの仕入価格の上昇や、取引先からの値下げ圧力などで価格転嫁ができなかっためで、業種別では運輸業や運輸・通信業が目立った。今後も「物価高倒産」は増加傾向で推移するとみている。(出所:ブルームバーグ

国民負担

 他方、政府はこんなご時勢に国民負担を求める姿勢を強めていないでしょうか。

 もっともらしいことをいっているようで、実はもっともなことではないのでしょう。やって当たり前のことを「異次元の少子化対策」などのような表現すること自体、それを如実にあらわしているのでしょう。関心を得て、不評をかわそうとする下心が見え見えです。

防衛財源確保、「国債60年償還」延長論も 自民が本格議論: 日本経済新聞

 その政府は借金まみれで、その上浪費癖を直すことができないようです。

償還期間を延長・廃止しても、浮いた国債費を防衛費に使えば借金は膨らむ。借金返済の担保が消えれば、市場の信認を失う恐れもある。(出所:日本経済新聞

 お金がないのなら、基本中の基本である「入るを量りて出ずるを為す」に徹し、歳出削減するのが常套手段です。お金は効率的に使うものです。

 

 

 すべてものごとが悪い方向にいくことがわかるような気がします。どの施策も密接に関係し、期待する効果よりも、逆に弊害の方が顕在化しているのでしょう。この悪い連鎖を断ち切らなければ、どうにもならないのでしょう。知恵がないとしか言い様がありません。

論語に学ぶ

哀公問うて曰わく、何を為せば則ち民服せん、と。孔子対(こた)えて曰わく、直きを挙げて諸を枉(まが)れるに錯(お)けば、則ち民服す。枉れるを挙げて諸を直きに錯けば、則ち民服せず、と。(「為政第二」19)

 魯の国の君主哀公が「どのようにすれば、人民は心服するであろうか」と問うと、孔子は「真っ直ぐな人物を登用して曲がった連中の上に据え置きますれば、民は心服いたします。その逆では、心服いたしませぬ」と答えました。

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 この問答の時代背景は、各地で農民が反乱していた時期だといいます。年若く無力な哀公はそれにおびえていたそうです。

 「直」、ここでは正しい人間を意味し、「枉」、真直ぐでない、不正な者と解釈するといいます。

 

 

 現在の選ばれた人は、「直」なのか、それとも「枉」なのか。選ぶ方が何が「直」で、何が「枉」を知らなければ、どうにもならないということでもあるのでしょう。

 首相とそれを選んだ政権与党はどちらなのでしょうか。

 

続く悲惨な事件、判決がわれる原発裁判、社会の空気感は悪くなっていないか

 

 福岡、静岡で悲惨な事件が起きました。悲しいことです。社会の雰囲気が悪い方へ向かっていないかと心配になります。

終わらない原発問題

 福島第一原発事故をめぐる裁判が続いています。東京電力の旧経営陣3人が強制的に起訴され、その控訴審の判決で東京高裁で言い渡され、無罪だったといいます。

【速報】原発事故 巨大津波予見できなかったと判断 東京高裁 東電旧経営陣3人二審も無罪 「長期評価は情報として不十分」 裁判所前では落胆の声 | TBS NEWS DIG (1ページ)

 この東京電力の旧経営陣3人は、高さ10メートルを超える津波を予測できたのに対策を怠り、双葉病院の患者ら44人を原発事故の避難によって死亡させるなどした業務上過失致死傷の罪に問われていたといいます。

 記事によれば、裁判の争点は、「巨大な津波を予測できたか(予見可能性)」と「対策を取れば事故は防げたのか(結果回避可能性)」といいます。これらについて、これまでの裁判で判断が分かれているそうです。

 司法の判断なので、それはそれで受け止めるしかないのでしょうが、これで終わりにしてよいのでしょうか。

 

 

判決は政府機関の地震予測について「津波の襲来の現実的可能性を認識させる情報ではなかった」と指摘した。旧経営陣には原発を停止させるほどの義務はなく、ほかの津波対策を講じたとしても事故を回避できたとは認められないと結論づけた。(出所:日本経済新聞

 しかし、現実に大震災が発生し、原発津波に飲まれ、大惨事を引き起こし、多くの犠牲者を出しました。このままでは同じような悲劇が繰り返されることになるのではないかと心配になります。何か対策はないのでしょうか。その上、政府はまた原発推進に舵を切っています。

 強制起訴制度での無罪判決が相次いでいると記事は指摘します。今回の判決でも検察が不起訴とした事件で有罪を得る難しさが改めて浮き彫りになったといいます。

 法律を厳格に適用して統治することの限界のような気がします。

論語に学ぶ

賜(し)や、女(なんじ)は予を以て多く学びてこれを識(しる)す者と為すか、と。対(こた)えて曰わく、然り。非なるか、と。曰わく、非なり。予は一以て之を貫く、と。(「衛霊公第十五」3)

  賜(子貢)よ、お前は私を多く学んでそれを記憶している者 知識人と思うかと、孔子が質問します。子貢は「そのとおりと存じます。違いますでしょうか」と答えると、孔子は「違うな。私は、学んだ知識を一理(道徳)をもって貫通(統合)しているのだ」といいます。

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「予は一以て之を貫く」、「一」を忠恕と解釈していいのかもしれません。

「忠」は誠実、「恕」は他者への思いやり

 こうした精神性を社会として育んでこそ、法が活きるのではないでしょうか。

 

 

新宿歌舞伎町の小さな通所介護センター

 新宿歌舞伎町でホストクラブなどバーや飲食店を運営している企業が、美容サロンやギャラリー、能舞台の運営、介護事業まで展開しているそうです。

「業界は変わっても、提供するコアなサービスは同じ」、それをもとに業態の幅を拡大していったそうです。

 介護サービスにおいても、利用者に丁寧なヒアリングを行い、それをもとにパーソナルデータを作成、個別のプログラムを提供しているといいます。

歌舞伎町ホストクラブが介護事業 意外な共通点とコロナ禍の決断:日経ビジネス電子版

お客さん全員に同じサービスを提供するのはマニュアルサービス。個別のサービスを提供するのがプロフェッショナルサービス。当社では、以前からプロフェショナルサービスを軸に飲食業を展開してきました。今はさらに一歩進んで“主客一体”サービスを目指しています。お客様と一緒に考え、問題を解決していく。それはホストクラブも介護サービスも同じ。多角経営というよりは、横展開。同じサービスを別事業に応用しているイメージです。(出所:日経ビジネス

 この創業者は高齢者施設を見学して、高齢者が「楽しみに行く」ような場所を作りたかったといいます。

「オフィスの横に介護施設があって、手伝いたいという若者が集まってきて、高齢者もふらっと遊びに来られる。そういう場になるのが理想ですね」と語っているそうです。

 

 

大企業には託児所はあっても、デイサービスはないですよね。子どもだけじゃなくて、おばあちゃんを連れて来られる。そんな場所があってもいい気がするんですよね(出所:日経ビジネス

 こんな視点もあるのと感心します。

 悲惨な事件はニュースとなって流れますが、よいことはニュースになりません。政治家の暴言や罵詈雑言、茶番劇もニュースになりますが、馬鹿馬鹿しさを正そうとしてもニュースになることはないのでしょう。不思議なことに人々は悪いニュースに引き寄せられてしまうのかもしれません。

 どうすれば社会の空気感が変わるのでしょうか。不正行為も犯罪もなくなるような社会の雰囲気になることはあるのでしょうか。

 

「参考文書」

東京電力旧経営陣に再び無罪 福島第1原発事故で強制起訴: 日本経済新聞